ゲーム実況は、今や誰もが気軽に始められる人気のエンターテイメントです。しかし、いざ始めようとすると「何から揃えればいいの?」と疑問に思う方も多いでしょう。私がゲーム実況を始めた頃も、機材選びには本当に頭を悩ませました。
この記事では、そんな悩みを解決するために、PCの選び方から必要な周辺機器、さらにはチャンネルを成長させる秘訣まで、私の経験を基に徹底的に解説します。この記事を読めば、あなたも自信を持ってゲーム実況の世界に飛び込めるようになります。
ゲーム実況の心臓部|配信PCの選び方

ゲーム実況のクオリティを決定づける最も重要な要素が配信PCです。PCは単にゲームをプレイするだけでなく、配信ソフトの動作、映像のエンコード、音声の管理まで、すべての処理を同時にこなす司令塔の役割を果たします。
配信PCのスペックで見るべき4つのポイント
快適な配信環境を構築するためには、各パーツの役割を正しく理解することが不可欠です。私が特に重要だと考える4つのポイントを解説します。
CPU|配信の司令塔
CPUは、ゲームの処理と配信ソフトのエンコードを同時に行うため、マルチスレッド性能が重要になります。Core i7やRyzen 7以上を選ぶと、高画質な配信でも安定したパフォーマンスを維持できます。
GPU|映像の主役
GPUは、ゲームを滑らかに描写する役割を担います。NVIDIAのGeForce RTXシリーズに搭載されている「NVENC」というハードウェアエンコード機能を使えば、CPUに負荷をかけずに高画質な配信ができます。
RAM|作業スペースの広さ
RAMは、ゲーム、配信ソフト、その他のアプリケーションを同時に動かすための作業スペースです。最低でも16GBは必要ですが、快適な環境を目指すなら32GBを搭載することをおすすめします。
ストレージ|データの保管庫
ストレージには、OSやゲームを高速に読み込むNVMe SSDが必須です。録画した動画は容量が大きくなるため、データ保存用に別途大容量のSSDやHDDを用意すると良いでしょう。
階層 | 主な用途 | CPU | GPU | RAM | ストレージ |
エントリー | フルHD (1920×1080) 配信 | Core i5-13400F / Ryzen 5 7500F | GeForce RTX 4060 | 16GB | 1TB NVMe SSD |
ミドルレンジ | WQHD (2560×1440) 配信、動画編集 | Core i7-14700F / Ryzen 7 7800X3D | GeForce RTX 4060 Ti / RTX 4070 | 32GB | 1TB NVMe SSD + データ用 |
ハイエンド | 4K (3840×2160) 配信、VTuber活動 | Core i9-14900K / Ryzen 9 9900X | GeForce RTX 4080 SUPER / RTX 4090 | 32GB / 64GB | 2TB NVMe SSD + データ用 |
おすすめのBTOメーカー3選
PC選びに迷ったら、BTO(Build-to-Order)メーカーのゲーミングPCがおすすめです。ここでは、私が信頼している主要な3社を紹介します。
ドスパラ (GALLERIA)
ドスパラは、納期の速さと手厚いサポート体制が魅力です。人気ストリーマーとのコラボモデルも豊富で、自分のプレイスタイルに合ったPCを見つけやすいでしょう。
マウスコンピューター (G-Tune)
マウスコンピューターは、高品質なパーツと安定した性能で定評があります。セール時にはコストパフォーマンスに優れたモデルが登場することもあるため、定期的にチェックする価値があります。
パソコン工房 (LEVEL∞)
パソコン工房は、カスタマイズの自由度が高く、自分好みのスペックを追求したい人におすすめです。全国に店舗があるため、購入後のサポートも安心して受けられます。
視聴体験を左右する|周辺機器の完全ガイド

高スペックなPCを揃えても、周辺機器が貧弱では視聴者を満足させることはできません。ここでは、配信のクオリティを格段に向上させるための必須周辺機器を解説します。
音質は最優先|マイクとオーディオインターフェース
視聴者は、悪い画質よりも悪い音質に敏感です。クリアで聞き取りやすい音声は、配信の生命線と言えます。
USBマイクとXLRマイク
初心者のうちは、PCに直接接続するだけで使えるUSBマイクが手軽でおすすめです。HyperX QuadCast Sなどは、高音質で見た目も良く、多くの配信者に支持されています。
音質にこだわりたい中級者以上の方は、XLRマイクとオーディオインターフェースの組み合わせに挑戦しましょう。より繊細でノイズの少ない音声を実現できます。
オーディオインターフェースの役割
オーディオインターフェースは、マイクの音を高音質でPCに取り込むための機材です。YAMAHAのAG03MK2は、直感的な操作性とループバック機能を備えており、ゲーム実況の定番モデルとなっています。
階層 | マイクモデル | タイプ | 特徴 |
エントリー | FIFINE K669B | USBコンデンサー | 圧倒的なコストパフォーマンス |
ミドル | HyperX QuadCast S | USBコンデンサー | 4つの指向性切り替え、タップミュート機能 |
ハイ | Shure SM7B | XLRダイナミック | 放送業界標準の温かみのある音質 |
視覚的な魅力を高める|Webカメラと照明
視聴者に自分の表情を伝えるWebカメラと、その映像を綺麗に見せる照明も重要な要素です。プロフェッショナルな見た目は、視聴者の信頼感につながります。
Webカメラの選び方
Webカメラは、解像度1080p、フレームレート60fpsに対応したモデルを選びましょう。LogicoolのC922nは、その安定した品質から多くの配信者にとっての基準となっています。
照明の重要性
いくら高性能なカメラを使っても、照明が不十分ではその性能を発揮できません。顔を明るく照らすリングライトや、より立体感を出すためのキーライト(LEDパネル)を活用して、映像のクオリティを高めましょう。
家庭用ゲーム機配信の必須アイテム|キャプチャーボード
PlayStation 5やNintendo Switchなどの家庭用ゲーム機の映像をPCに取り込むためには、キャプチャーボードが不可欠です。PCゲームのみを配信する場合には必要ありません。
キャプチャーボードの役割
キャプチャーボードは、ゲーム機からのHDMI出力をPCに入力できるように変換する装置です。これにより、ゲーム機の映像にWebカメラの映像やコメント欄などのオーバーレイを重ねて配信できます。
パススルー機能を確認する
キャプチャーボードを選ぶ上で最も重要な機能が「パススルー」です。この機能があれば、ゲーム映像を遅延なくモニターに出力しながら、PCで録画・配信できます。特にPS5の性能を活かすには4Kパススルー対応モデルが必須です。
配信プラットフォーム別の設定方法

使用するゲーム機によって、配信の準備や設定方法が異なります。ここでは、主要なプラットフォームごとの配信方法を具体的に解説します。
PCゲーム配信のセットアップ
PCゲームの配信は、最もシンプルな方法です。配信ソフト(OBS Studioなど)をインストールし、ゲーム画面をキャプチャーするだけで始められます。
パフォーマンスを安定させるため、片方のモニターでゲームをプレイし、もう一方で配信ソフトやコメントを管理するデュアルモニター環境を強く推奨します。これにより、ゲームプレイに集中しながら視聴者とのコミュニケーションも円滑に行えます。
PlayStation 5 (PS5)配信の2つのルート
PS5からの配信には、本体機能を使う手軽な方法と、PCとキャプチャーボードを使う高品質な方法の2通りがあります。自分の目的に合わせて選びましょう。
ルートA|本体のブロードキャスト機能
PS5本体には配信機能が内蔵されており、追加機材なしでYouTubeやTwitchへ配信できます。手軽に始められる反面、オーバーレイなどのカスタマイズ性は低くなります。
ルートB|PCとキャプチャーボードを連携
最高の画質と自由なカスタマイズを求めるなら、PCとキャプチャーボードを使う方法が最適です。PS5本体のHDCP設定を無効にし、HDMIケーブルでキャプチャーボードに接続することで、OBSなどで自由な配信画面を構築できます。
Nintendo Switch配信の唯一の方法
Nintendo Switchには、PS5のような本体配信機能がありません。そのため、Switchのゲームを配信するには、PCとキャプチャーボードが必須となります。
接続方法は、SwitchドックからのHDMI出力をキャプチャーボードの入力端子に接続し、キャプチャーボードからPCへUSBで接続します。Switch Liteは映像出力ができないため、この方法での配信は行えません。
配信を彩るソフトウェアとツールの活用

ハードウェアを揃えたら、次は配信を実際に動かすためのソフトウェアが必要です。ここでは、配信の中心となるソフトから、コンテンツをさらに魅力的にするツールまで紹介します。
配信ソフトの選び方|OBSとStreamlabsの比較
配信ソフトは、ゲーム映像や音声をインターネットに送出するためのコックピットです。代表的な2つのソフトを比較します。
OBS Studio
OBS Studioは、無料で高機能なオープンソースの配信ソフトです。動作が軽く、カスタマイズ性も高いため、世界中の多くの配信者に利用されている標準的なソフトです。
Streamlabs
Streamlabsは、OBSをベースに、初心者向けに使いやすくしたソフトです。テーマや通知機能が統合されており、手軽に見栄えの良い配信画面を作れますが、その分PCへの負荷はOBS Studioよりも高くなる傾向があります。
機能 | OBS Studio | Streamlabs |
コスト | 無料 | 無料 |
使いやすさ | 中級者向け | 初心者向け |
カスタマイズ性 | 高い | 中程度 |
システム負荷 | 比較的低い | 比較的高め |
動画編集ソフトと著作権フリーBGM
配信の録画を切り抜いてハイライト動画を作成することも、チャンネル成長の重要な要素です。動画編集には、無料でありながら高機能な「DaVinci Resolve」などがおすすめです。
配信中のBGMは、著作権フリーの音源を使用することが鉄則です。「DOVA-SYNDROME」や「魔王魂」といったサイトでは、クレジット表記をすれば無料で利用できる高品質な楽曲が多数公開されています。
趣味から一歩先へ|チャンネルを成長させる秘訣

機材とソフトの準備が整ったら、いよいよ配信者としての活動が始まります。ここでは、チャンネルを長期的に成長させていくための心構えと具体的なテクニックを解説します。
収益化の条件とゲームの著作権
多くの人が目標とする収益化には、各プラットフォームが定める条件をクリアする必要があります。YouTubeやTwitchのパートナープログラム要件を確認し、目標を立てて活動しましょう。
配信活動を行う上で、ゲームの著作権は絶対に無視できません。「(ゲームタイトル) 配信ガイドライン」で検索し、必ず公式サイトの一次情報を確認する習慣をつけましょう。ガイドライン違反は、チャンネル削除などの厳しいペナルティにつながります。
ファンを作るコミュニティ運営術
チャンネルの成功は、コミュニティの構築にかかっています。技術的な準備だけでなく、視聴者とのエンゲージメントを高める努力が不可欠です。
視聴者からのコメントには積極的に反応し、名前を呼んでコミュニケーションを取ることで、親近感が生まれます。たとえ視聴者が少なくても常に話し続ける姿勢が、新しい視聴者を歓迎する雰囲気を作ります。X (旧Twitter) などのSNSを活用して配信スケジュールを告知し、ファンとの交流を深めていきましょう。
まとめ

ゲーム実況を始めるために必要なPCや周辺機器、そしてチャンネルを成長させる秘訣について解説しました。機材選びは、予算や目標に応じて戦略的に行うことが重要です。
コンポーネント | 「バジェットスターター」パッケージ | 「クオリティクリエイター」パッケージ | 「プロフェッショナル」パッケージ |
PC | エントリーモデル | ミドルレンジモデル | ハイエンドモデル |
キャプチャーボード | (PCゲームなら不要) / エントリー | ミドルレンジモデル | ハイエンドモデル |
マイク | エントリーUSBマイク | ミドルレンジUSBマイク | XLRマイク + インターフェース |
Webカメラ | エントリーモデル | Logicool C922n | デジタル一眼レフカメラ |
照明 | LEDリングライト | Elgato Key Light Air | 2灯以上のキーライト |
想定合計コスト | 約20万円~24万円 | 約35万円~40万円 | 60万円以上 |
最初から完璧な機材を揃える必要はありません。まずは手の届く範囲からスタートし、チャンネルの成長と共に機材をアップグレードしていくのが賢明な方法です。最も大切なのは、継続すること、そして何より自分自身が楽しむことです。この記事が、あなたのゲーム実況者としての一歩を力強く後押しできれば幸いです。